ユヴェントスがセリエ A で得点に苦しむ理由とは? 3 試合連続の 0 対 0 は「危機の予兆」か、それとも「好転の兆し」か?

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新体制のユヴェントスは、素晴らしいシーズンスタートを切ったものの、その後は停滞している状況だ。

チアゴ・モッタ新監督が就任したユヴェントスは、夏の積極的な補強によりチーム構成を大幅に変えた。注目を集めたセリエ A 開幕戦では、コモに対して 3 対 0 で大勝。続くエラス・ヴェローナ戦も同じスコアで連勝を果たした。

しかし、それ以降はローマ、エンポリ、ナポリとの対戦でスコアレスドローとなり、勝ち点 9 で 4 位についているものの、開幕直後の勢いは冷めてきている。

特に、3 試合連続で得点がないことは懸念される。セリエ A で 3 試合連続のスコアレスドローを記録したのは、ユヴェントス史上 5 回目で、1992 年 5 月以来、32 年ぶりのことだ。

攻撃力の低迷

これは結果だけでなく、攻撃力のスタッツも低迷している。6 得点でリーグ 11 位のユヴェントスは、『La Gazzetta dello Sport』紙によると、シュート回数(53 回)でリーグ 14 位、枠内シュート(17 回)で同 13 位、クロス(54 回)で 16 位、相手ボックス内でのタッチ(81 回)とボックス外からのシュート(15 回)はともに 17 位と、各スタッツともリーグ下位に位置している。

特に目立つのは、エースのドゥシャン・ヴラホビッチの苦戦だ。ヴェローナ戦では 2 ゴールを記録したが、公式戦 6 試合でゴールを決めたのはこの 1 試合だけ。ナポリ戦ではハーフタイムで交代となり、大きな議論を呼んだ。

今シーズンのヴラホビッチは 1 ゴールに平均 199 分を要しており、これはここ 4 シーズンで最も低い数字。過去 3 シーズンの序盤戦では、5 試合または 4 試合で 3~4 ゴールを記録し、1 ゴールに要した時間は 147 分、88 分、101 分と、今シーズンと大きな差がある。1 試合あたりのシュート数(平均/枠内/ボックス内)、パス成功率、ボックス内でのタッチ数などのスタッツも、昨シーズンから低下している。

シナリオの実現はまだ先か

もちろん、ヴラホビッチ自身も責任を感じており、『La Gazzetta dello Sport』紙によると、練習では全力を尽くしているという。モッタ監督も彼の姿勢を評価しており、エースの数字が低迷しているのは本人だけの問題ではないと述べている。

つまり、ヴラホビッチがゴールを決めるチャンスをつくれていない状況なのだ。

ここ 3 試合の相手が引いて守るスタイルだったことも、得点が難しかった一因だ。エンポリ戦とナポリ戦の間に行われたチャンピオンズリーグでは、PSV 相手に 3 ゴールを挙げて勝利している。

また、モッタが昨シーズン躍進させたボローニャとの違いも指摘されている。

マンチェスター・ユナイテッドに移籍したジョシュア・ジルクゼーとヴラホビッチは明らかに異なるタイプ。また、アーセナルに移籍したリッカルド・カラフィオーリのような存在がいないことも問題視されている。『La Gazzetta dello Sport』紙は、チームに徐々に馴染んでいるピエール・カルルが、似たような役割を果たせるかもしれないと期待を寄せている。

さらに、ヴラホビッチの負担を軽減する代役がいない。控え CF のアルカディウシュ・ミリクは怪我のため戦列復帰が遅れている。モッタはナポリ戦でヴラホビッチを交代させ、ティモシー・ウェアを起用したが、ゴールにつながっていない。エース以外の攻撃陣も貢献が少ない。

そして何よりも、トゥーン・コープマイネルスやニコ・ゴンサレスなどの新戦力が加入したばかりで、彼らのデビューはローマ戦で、スタメンに名を連ねるようになったのはエンポリ戦から。2 人がピッチに立つようになってからの 3 試合で、ユヴェントスは得点できていない。

ファビオ・カペッロは『La Gazzetta dello Sport』紙のコラムで、「モッタはもっと何かを引き出さなければならない。彼も道を探しているところだろう。それを見つけられたかは分からない」と述べた。

「アイディアはある。しかし、おそらく、選手たちがまだ台本を十分に理解していないのだろう」

新しい指揮官とチーム構成には、時間がかかるのは当然のことだ。

昨シーズンのボローニャは有望な前例か

その意味で、昨シーズンのボローニャのデータは、ユヴェントスのファンを期待させるかもしれない。同じ 9 月に 3 試合連続のスコアレスドローを経験している。

その後、ボローニャは 10 月の初戦で 3 対 0 で大勝。続くインテル戦では敵地で 2 対 2 と引き分け、そして歴史的な CL 出場権獲得につなげていった。

もちろん、モッタがユヴェントスでも同じようにチームを上昇気流に乗せられるかは不明だ。

ただ、本格始動がこれからのチームで、無敗を維持し、欧州主要リーグで唯一の失点ゼロを保っているのは事実。守備を堅実にしつつ、攻撃力を構築していく道筋はできつつある。

1 カ月後には王者インテルとの敵地でのビッグマッチが控えており、それまでにモッタのユヴェントスがどのようなチームに成長していくかが注目される。

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